映画

真幸くあらば

死刑囚と、被害者の婚約者だった女は、禁断の恋に落ちた。それは互いに決して触れ得ない、期限付きの究極の恋愛。

遊ぶ金欲しさに空き巣に入った家で、居合わせたカップルを衝動的に殺害してしまった青年、南木野淳。一審で死刑を宣告された彼だったが、検察と争うことを是とせず、弁護士が提出した控訴を自ら取り下げ、そのまま死刑囚として投獄される。

独房に佇む彼に突如、美しいクリスチャンの女性が面会に訪れる。
川原薫と名乗るその女は、淳が殺した男性の婚約者だった。

淳が忍び込み、殺人を犯したのは、その男性と、薫とは別の女性との逢引の現場だったのである。

婚約者を殺害した憎むべき男であるとともに、婚約者の不実を暴き、それを裁いた男。薫は何故か、そんな両義的な存在である淳に徐々に惹かれはじめていく。

そして、幼いときから愛を知らずに育った淳も、薫によって生きる喜びを知り、ひとを愛する喜びに目覚めてゆく。

厳重な監視が付く面会室で、アクリル板越しでしか会うことができない状況のなか、互いに求めあう二人は、薫が差し入れる聖書に小さな文字で書き込みをし、互いの想いを伝えあう「秘密の通信」を開始する-

謀反の咎で捕えられ、刑死を間近に控えた有間皇子が祈りのように詠んだと伝えられる歌のごとく、哀切な調子と淡々としたリズムをもった、まるで音楽のように織りなされた映像詩。

「死刑」という絶対の期限の付いた、肌と肌の直接的な接触が絶望的に断たれた状況下での究極の純愛映画。

真幸くあらば
監督:御徒町凧
音楽:森山直太朗
脚本:高山由紀子
出演:尾野真千子、久保田将至、山中 聡、YOU THE ROCK★、大河内 浩

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